皆様は実は出産後、痔に悩まされるお母様方が多いのはご存じでしたか?
実は、一度痔を患ってしまうと痔そのものが、恥ずかしかったり、育児に余裕が持てず、自分のケアに気が回らないため、症状が悪化してしまう人も多いようです。

痔は症状が悪化すると、寝ていられないほどの痛みを伴うため、放置せずにきちんと治すことが大切なんです。
そこで、産後になりやすい痔の原因や治し方、痔を悪化させないためのポイントをご紹介していきましょう。
目次
妊娠中や出産後は痔になりやすい理由とは
産後の痔の発症率は85%以上という報告も
妊娠中や出産前後には、おしり周りのトラブルが多く、特に妊娠中期・後期での痔の発症率は高いと言われています。
その割合は85%以上という報告も上がっています。
【参考文献】※3Gojnic, M. et al.: Clinical Experimental Obstetrics and Gynecology, 32: 183, 2005.(海外データ)
特に産後の痔は気付きにくい!その理由とは
また産後にできる痔は、気付きにくいと言われてます。
妊娠・出産を機に痔になってしまうことはよくあります。出産を終えてしばらくの間は、下記2つの痛みが起こることが多いです。
ポイント
<痔の違和感に気付きにくい2つの痛み>
- 後陣痛
- 会陰切開
の痛みが続いていることが多いのです。
そのため、肛門付近に違和感があるという感覚はあっても、痔があることに気が付きにくいことが多いためなのです。
しかし、産後1ヶ月程経過した後で、出産に伴う痛みがなくなるにつれて、肛門付近の痛みが自覚できるようになるため、排便時や寝返りを打つ時期に辛いと感じるようになるのです。
産後の痔は切れ痔やイボ痔が多い
「痔」にはいくつか種類がありますが、そのうち、産後に多く見られるのは「切れ痔」と「いぼ痔」の症状が多くみられます。
<産後に多い痔の種類とは>
- 切れ痔
- いぼ痔
他にも痔ろう等がありますが、産後は主に上記2つの場合が多いです。
切れ痔
「切れ痔」は、肛門周辺の皮膚が傷つき、裂けている状態です。排便するときに痛みや少量の出血が見られます。排便し終わったあとに、肛門の周りがヒリヒリと痛むこともあります。
切れ痔を繰り返すと、皮膚の裂け目が深くなって炎症を起こし、ポリープなどができて肛門が狭くなることで、さらに排便時の痛みが強まります。
いぼ痔(痔核)
「いぼ痔」は、肛門まわりの血管が圧迫されてうっ血状態になり、いぼ状にふくらんだ状態です。いぼ痔には、肛門の内側にできる「内痔核」と、肛門の外側のおしりの皮膚にできる「外痔核」の2種類があります。
内痔核の場合は、痛みがないため、出血してはじめて気づくこともあります。一方で外痔核は、皮膚に知覚神経が通っているため痛みを感じます。
痔の症状は主にイボ痔が多い
妊娠中や産後に発症する痔の症状は、「95%以上」がいぼ痔なんです。
妊娠中は、赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮が、直腸や肛門部を圧迫することで、うっ血をきたし、痔になりやすくなります。
※【参考文献】4Poskus, T. et al.: BJOG, 13: 1666, 2014.(海外データ)
症状の悪化によってイボ痔➡切れ痔に移行してしまう
産後の痔には、主にイボ痔が発症してしまう方の方が多いと言われています。但し、イボ痔は、それほど痛みを伴わないことが多いです。
そのため、このイボ痔に気付きにくく、これを放置してしまうことで、切れ痔へと移行してしまい、痛みが出る事で気付くことが多いんです。
産後の痔がおこりやすい原因とは
産後に痔に悩まされやすい主な理由は、次の2つが挙げられます。
ポイント
<産後の痔の2つの原因>
- 出産のいきみ
- 産後に起こる便秘
出産のいきみ
妊娠中は、ホルモンバランスの変化により便秘になりやすく、排便するときに強くいきむことで肛門まわりの血管に負荷がかかっていぼ痔ができたり、肛門の皮膚が裂けて切れ痔に移行したりしてしまうんです。
又大きくなった子宮によって肛門周辺の血管が圧迫されることも、痔になりやすい原因なんです。
このように、妊娠中は痔になりやすいのですが、出産で強くいきむことによって肛門まわりの血管がうっ血したり、皮膚が傷ついたりしてさらに痔の症状が悪化するほか、新たに痔ができることもあります。
産後の便秘
産後は、授乳をしていると水分が母乳に持っていかれるので、意識的に水分補給しないと便が固くなり、便秘気味になります。
また、会陰切開や帝王切開の傷をかばって下腹部に力を入れにくく、排便の頻度が減ることで、便秘になることもあります。
便秘が続いている状態で、排便するときに無理にいきむと、いぼ痔や切れ痔ができる原因になってしまうのです。
産後の痔を治すよりよい対処法とは
産後に痔ができたり悪化したりするのは「出産のいきみ」と「産後の便秘」が主な原因です。
しかしそのほかにも、日常生活のちょっとした習慣が、痔を悪化させてしまうこともあります。
産後の痔をできるだけ早く治すために、次のようなことを意識して過ごしてみてくださいね。
<痔を治す対処法とは>
- 野菜を中心とした食生活を!
- トイレを我慢しないように!
- 下痢にならないように気を付けよう!
- おしりを冷やさないようにしよう!
- 横になりましょう!
食生活の見直し
妊娠・出産を終えたあとにできる一番効果的な対処法は、便秘を治すことです。便秘にならないような生活を心がけることで、排泄のときに腸や肛門にかかる負担を減らすことができ、痔を繰り返さなくて済みます。
トイレに行く習慣を
便秘の時は、水分や食物繊維を意識して摂るようにしたり、便意を感じたら我慢せずにトイレへ行く習慣をつけましょう。
ただし、排便のときにあまり強くいきみすぎないように気をつけてくださいね。
お尻は常に清潔に!
下痢が続くことで肛門まわりの皮膚が炎症を起こし、切れ痔を悪化させることもありますので、日々お腹の調子を整えておく習慣が大切です。
便秘のみならず、下痢の場合には、お尻をこまめに洗浄して、おくことでイボ痔のうっ血や炎症を抑えることができます。
お腹の冷えによって下痢が悪化しやすいため、できるだけ温かい飲み物をとり、腹巻きやカイロでお腹を温めるなど工夫しましょう。
また、便秘のときとは反対に、胃腸への負担を軽くするため食物繊維の摂取は控えることが大切です。
肛門周辺の血行を良くしましょう!
1ヶ月健診までは、医師の許可なく、おしりを温めることは難しいので、医師から許可が下りれば、お風呂にしっかりつかるようにしましょう。
それまでは、お尻を常に清潔にしてケアしておくことが大切です。
入浴するときには、湯船にゆっくりと浸かっておしりを温めることでお尻の痛みを和らげることができます。
横になりましょう!
また長時間座りっぱなしの姿勢を続けていると、肛門まわりの血管が圧迫されてしまい、痔の原因なります。
授乳中等以外の時には、長時間座ることはおすすめしません。
授乳などで座るときはドーナツ型のクッションを使ったり、30分に1回は、立ち上がって適度に体を動かしたりするようにしましょう。
もしひどくなった場合には薬は使おう!
痔の痛みがひどい場合には早く治したいものですよね。そんな時に痔の薬を使いたくなるかもしれません。

但し、産後や授乳中には、自己判断で薬を利用する母乳への影響が懸念されます。影響がないかどうかしっかり確認してから使用することが大切です。
そこで、使用可能な薬をいくつかご紹介していきましょう。
ポイント
<使用できる市販薬とは>
- ボラギノール
- ワセリン
- ヂナンコーソフト
ボラギノール
「ボラギノール」は、授乳中でも使用できるとされています。
- 私も、産後には必須のアイテムで、これ一つあるだけで安心でしたよ~。
- また私も活用していて、母乳への影響も全くありませんでした。

ボラギノール緑と黄色の2種類がありますが、黄色がおすすめ、うっ血や腫れ、痛みの緩和をサポートしてくれる、緑よりもちょっと強めの成分になっていて、緑はかゆみ等を和らげるタイプです。なので、黄色の方が痛みをより緩和してくれるので、なるべく黄色を使用しましょう。
ボラギノールで副作用はありませんでしたが、それでもご不安な場合は、まずはかかりつけの産婦人科医や薬剤師にも相談するようにしてくださいね。
授乳中であることを産婦人科や肛門科で伝えた上で、赤ちゃんになるべく悪影響が及ばない薬を処方してもらえるのであれば、それが一番安心ですから。
ヂナンコーソフト
ヂナンコーソフトは、ステロイド剤が入っていない、痔の痛みの緩和をサポートするものなので、授乳時にも影響はなく、安心して利用できる商品の一つです。
ワセリン
ワセリンは、どこでも手に入る商品だけに、薬局でボラギノールなど痔の薬を買うのに抵抗がある方におすすめの方法です。
ワセリンと言えば、乾燥肌の場合に使うイメージがあるんですが、実は痔にも有効なんです。
ワセリンは油なので皮膚の上に簡単に膜を作ることができます。
便がスムーズに肛門を通過するために、排便する直前に行うのがいいでしょう。
直接、指で塗ると爪先で傷つける恐れもあるので、安いナイロン製の手袋にワセリンを塗って肛門周辺に塗りましょう。
痔を悪化させないためのおすすめケアアイテム3選
そして、もう一つ大切なことがあります。それは、その症状をケアする・悪化させないということが非常に大切です。
ボラギノールでケアしたとしても、その傷が又開いてしまっては何の意味もないんです。特に一度切れてしまうと、ちょっとしたことでもすぐ切れてしまうことがあります。
例えば、座った時なんかも同様にすぐキレてしまうんです。
- 便秘にならない
- おしりに力を入れない環境を作る

そこで、おすすめのケアアイテムが3つ。
ポイント
<痔を悪化させないおすすめケアアイテム3選>
- 円座クッション
- 乳酸菌
- オリゴ糖
円座クッション
私も産後はひどい切れ痔だったのですが、産後すぐには、本当にあると助けられたグッズでした。
特に、ソファーに直接座ろうとしても、かなり痛いです。そんな時にこの円座クッションがあると、
これは、産後のヒリヒリした状態を早く軽減するのにも、ありがたかったです。
産後におしりに違和感がない方は、普段と同様な生活スタイルで大丈夫です。症状が出た場合のみでよいかと思います。
産後でおしりに違和感がある方は、ぜひ利用されることをおすすめします。日々のケアにこれは絶対に効果ありです!
乳酸菌とオリゴ糖
そして、痛みのケアと同時にやらなくてはいけないのが、腸内フローラの改善です。
これにおすすめなのが、「乳酸菌」と「オリゴ糖」についても便秘改善を促し、お腹の中を清潔に、そして腸内環境を正常化することで、痔も治りやすくなります。

この2つの成分が、腸内の善玉菌を活発にし、便秘改善及び腸内環境改善をサポートしてくれます。両方とも摂取することが大切です。
その理由に関しては、下記でご確認下さい。
まとめ
産後のおしりの痔や痛みと闘いの皆様。ぜひ産後は多くの方が出産における痔で悩んでおられる方が非常に多いです。
ひどい痛みにならないように、定期的な腸内環境の改善と日々の日常的なサポートを行いながら、上手に子育てを頑張っていきましょうね。
また産後は、育児や家事などで大忙しの毎日が続くため、痔の痛みや違和感があってもすぐに対処しづらいかもしれません。病院へ行く時間がなかなか取れないときは、便秘を解消するなど生活習慣の改善を心がけましょう。
それでも症状が改善しない場合には、かかりつけの産婦人科か肛門科を受診してくださいね。ストレスを解消して楽しく子育てするためにも、一人で我慢せず医師に相談してみましょう。
また、お母さんだけじゃありません。赤ちゃんも、0~3歳ぐらいまで幼児期は非常に裸が弱いので、お尻かぶれもひどくなる時期。
お母さんばかりではなく、赤ちゃんのオムツかぶれなんかも注意しましょうね。こちらもぜひ確認しておきましょう。
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